リュクサンブール公園のベンチは可動式→
アメリカンホスピタルを出発したバスは
凱旋門やエッフェル塔などパリの名所を通りながら…リュクサンブール公園まで行く
耳をティッシュで押さえながらの…車内観光
気分も…耳の方も軽くなってきた気がする…
山の手地区を走っているので、乗車してくるマダムたちも…それ相応の雰囲気
皆さんお洒落でシャンとしている
パリのマダムたちは本当に綺麗…なかなか日本ではお目にかかれない
何が違うのだろう???
同じ女性として考えてしまう…
キョロキョロしているうちにバスはリュクサンブール公園に到着
まずは、ファーマシーへ行って薬を買わなくては…
大通りに面した大きめの店に入る
前回と同じように…処方箋を渡し…シルブブレ
すると…フランス語で何か言ってくる
えっ???何?…フランス語わからないと言うと…今度は英語で話しかけてきた
こういうことらしい…
「処方箋に書いてある2つの薬のうち、1つの薬は処方箋通り5つ用意出来るが、
もう1つの薬は今1つしか在庫がない…明日取りに来てくれないか」
人間…スゴイ経験をすると…度胸が据わってくるものである
なんとなく…向うが言いたいことがわかって来た
OK☆明日来るよ
と、言うとニッコリしてくれた…ベリーショートよく似合うの美人店員さん
名刺を差し出し…また何か言っている
はは…注射を打つ…看護婦を紹介してくれてるんだな…
注射はアメリカンホスピタルでしてもらうことになっている…と言うと
「ダコール(わかった)」と頷いた
ふう…何事も経験である
時間は午後1時30分過ぎ…
お腹も減ったし…この辺りで昼食にしよう!!!
バックに入っていたガイドブックに書いてあったベトナム料理の店を探す…
何としても汁物が食べたいのだ…が…また…見つからない
ああ…ホント…ガイドブックって当てにならない
中華料理・インド料理…もう…一度食べてるし…う〜ん…
この旅はなかなか食べたいものが食べられない!!!
トイレも行きたくなってきたし…ええい!!!
半ばやけになって、フランス風ファーストフード…の店に入り
指差しでバケットサンド選び…オレンジジュースを注文…トイレを借りる
その後、リュクサンブール公園へ
公園入り口では
テレビカメラが来ていて、道行く人に大統領選のインタビューをしている
関係ない私は、ずんずん…公園の中へ
平日のお昼だというのに沢山の人がいる
私もベンチに座り買ってきたパリジャンサンドをパクつく
パリジャンサンド…
バケットのサンドイッチのことを日本ではこう言うが…パリでは…言わないだろうなぁ
そんなことを思っていたら
ふっと…あることを思いつく
食べ終わってから…公園奥へ
子供たちが大勢…声をあげて遊んでいる…日本ではあまり見かけなくなった光景
パリのマダムもお洒落だが…子供たちも負けてはいない
子供らしいかわいい服を着ている
服の色使いも素敵…何が違うのだろう
ある建物の近くに行くと子供たちの行列が出来ている
その建物はこれ
Theatre de Marionnettes du Luxemborg リュクサンブール マリオネット劇場
人形劇の小屋だ
耳の痛み…恐怖から開放されたし…
せっかく来たから観て行こう
大人も子供の同じ料金 4.20ユーロ
開演間近になると小屋の太ったおじさんが
カラン〜カラン〜とベルを鳴らす
「さぁ〜人形劇がはじまるよ〜」
子供たちは…始まる前から興奮気味
劇は…
とにかく早口だった!!!人形たちは機関銃のごとくしゃべる
この早さで…子供は理解出来ているのだろうか
言葉のわからない私には、まったくわからなかった
フランス人なら誰でも知っているという人形劇の主人公ギニョール
彼が御馴染みのストーリーに入りこむという単純な劇なのだが
子供たちはどっぷり…劇の世界に入り込んでいる
ギニョールは子供たちの分身となり舞台で活躍する
ピンチになったりすると子供たちが「ギニョール!!!ギニョール!!!」と声を出して呼ぶのだ
私にはさっぱりわからなかったが…子供たちは大満足の様子
劇が始まる時、少し騒いでいる子がいると
子供たち同士が「シーシー」と静かにさせる
劇場での態度…芝居を観るとはこういうことだと教える為に
子供の頃から連れてきている…という感じなのだ
劇場に慣れさせる…というか…
お母さんに抱かれた赤ちゃんまでいる
一番大きくても6歳くらいかな?
小学校上がる前の子供たちが、びっくりするほどよく観ている
残念ながら日本ではこうはいかない
学校公演をやっている身としては…いろいろ考えてしまう
もっと観たい…
夕べ寝られなくてパリスコープ(パリ版ぴあ)を眺めていた
これも観たい…こっちも観たいと印をつけていたのだか
慌ててホテルを出てきたので持ってくるのを忘れてしまった…
あたりまえよね
午前中まで…芝居どころではなかったんだから
でも…もう耳は大分いい…まだダラダラと流れているが…
耳を押さえながらでも観たい
一度点火してしまった芝居の炎は簡単には消えないのだ
今日は水曜…新しいパリスコープの発売日
新刊を買って…印をつけて…当日券をゲットするのだ!!!
さぁ〜モンパルナス…テアトル キオスクへ
昨日と同じお兄さんがいた
『キャバレー』素晴らしかった!!!と言ったら
「そりゃ〜いいはずだよ」と答えてくれた
パリスコープに印をつけた
これを指差す
お兄さんはまた笑いながら…チケットを出してくれた!!!
手数料込みで18ユーロ
またバスでホテルに戻る
開演は午後7時…昨日より早く終わるとはいえ、帰りの算段をつけておかないと…
地下鉄の乗り換え等をチェックしながら向かう
まず7号線に乗ってパレ ロワイヤル ミュゼ ドゥ ルーヴルへ
そこで1号線に乗り換えてシャンゼリゼ クレマンソーで下車
マリニー劇場へ…開場前に到着…
昨日と同じようチケットを替えてもらおうと劇場に入ったら…前にいた人が窓口の人と話している
どうやら…ここは大劇場で…ピアフは小劇場での上演とのこと…
ふむむ…かなり分かる様になってきたぞ!!!
劇場を出て、その人たちについて行くと…ありました!!!
窓口で座席番号の入っているチケットをゲット!!!
ちなみに大劇場ではアランドロン主演の『マディソン郡の橋』を上演中
さて…夕食…と思ったけど、シャンゼリゼ大通りのそばにある劇場…
周りにはお高いレストランやカフェしかない
仕方なく…公園の売店でバナナとコーラを買い、ベンチへ
これを撮っていたら
隣のカップルが一人でバナナの写真を撮っている私を哀れんだのか
「撮ってあげようか…」と声をかけてくれた
へっ…バナナと???
丁重にお断りし…ちんまりベンチに座り、バナナを食べました
1本食べ終わったところで…隣のカップルに オ ルヴォア(さよなら)と言って劇場へ
定員311人…丁度いいサイズの小屋
1階250人…2階60人ってところかな?…入りは約7割
アコーディオンの男性と進行役の男性とピアフの役の女性の3人芝居
シンプルな衣装に…その時々の衣装を重ねていく
街角で歌っていた少女時代…
マネージャーに見出されてキャバレーで歌うようになり…ピアフ(雀)と名前を変える
アコーディオンの男性もその度…衣装を重ねていく
歌う場所…バンドの格が上がってゆく過程を衣装で表していったり
ピアフ役の女性の歌がよかった!!!
ピアフの歌は彼女の人生そのものだったのだなぁ…と改めて感じた
運命に翻弄されながら、その運命に向かって歌い続けた歌手
『群集』という歌…
祭りの日に人波の中で偶然出会い…恋をして…また人波にのまれて別れていく恋人たち
その歌を…ただの恋の歌ではなく
人生…そのものとして歌ったピアフ
だからこそ…いまだに人々の心を揺さぶり続けるのだろう
歌は人生 人生こそ歌
ピアフを演じている女優も大変だったと思うが…ストレートに演じていて気持ちがよかった
役者と役と…歌と演技…すれすれさ加減が…とても勉強になった
私が歌って行きたいと思っているシャンソンが聴けて…とても嬉しかった
そして…自分の方向が間違っていなかったことがわかって…自信も持てた
自叙伝映画が2月から上映されていることもあり、フランスで…またピアフが注目されている
会場も熱気に包まれていた
有名なナンバーを皆で歌ったり…素敵な時間だった
アンコール〜アンコール〜の声がかかる
が、そろそろ大劇場の芝居が始まるので…出来ないんです…とお客さんに頭を下げていた
劇場の諸々とした事情は…パリにもあるみたい
興奮冷めやらぬまま…凱旋門に背を向けシャンゼリゼ大通りを歩く
ときどき両耳がちゃんと聞こえる
おかしなことに…そのことに感動したりする
車で通り過ぎる音…風が並木を揺らす音
ざわざわ〜と…ちゃんとステレオで聞こえる音をいとおしく思ったり
聞こえることって…素敵なこと
いつもは感じないけど…聞こえなくなるとわかる
パリの遅い夕暮れ…でも暮れかかると…夕闇が迫るのは早い
いつの間にかコンコルド広場まで来ていた
セーヌ川の向うにエッフェル塔が見える
何か誘われたように広場の中央に立つ
車が石畳を駆け抜けたその瞬間
広場の街灯がいっせいに燈った
ファンタスティック…☆まるで魔法みたい
まるで私だけのために…灯りをつけてくれたような気になってしまう
ああ…パリはマジシャンみたい…憎い奴なのだ
向こう岸のエッフェル塔のイルミネーションがキラキラと輝きだす
待ってましたとばかり…セーヌ川に浮かぶ遊覧船も
負けじと明かりを灯し出す
興奮してセーヌ川を渡り…歩き出す
街をただ歩きたくて…
途中バスに乗り…間違えて違うところで降りちゃったり…
時計が無いためバスの時間がわからなくて
道行く人に時間を聞いたり…
そんなことさえ…なんだか楽しい
結局リュクサンブール止まりのバスしかなく
公園そばのマクド(パリの人もこう呼ぶらしい)…休憩して
地下鉄オデオン駅まで歩く
そこから10号線に乗りジュシュー駅へ
7号線に乗り換えて…すまして座っていると
前に男が座った
その男は私を見てニヤニヤ笑っている
ゲッ…変な奴が座っちゃったな…思ってると
ちょうどうまい具合に耳から…アレ…が出てきた
おもむろにティッシュを出し…耳を押さえた
そして…そのティッシュを戻すと
ふふふ…案の定…アレが白いテッシュに付着している
それを見たニヤケ男は…一瞬ぎょっとして
席を立ち、別のところに消えていった
ふふふ…変な男も撃退
痛かったけど…意外な活用も出来た
はは…愉快…愉快
何事も無く…レ ゴブラン駅で降り、ホテルへ戻った
とんでもない体験をし…充実した
パリ5日目が終わった
長い長い一日だった…