二日目 ムーラン・ルージュ
昼間はオルセ美術館へ…
さすがに疲れたけど…心は充実感でいっぱい
子どもの頃から憧れていた絵たちに出会えたのだもの
さて…夜は
そうそう…その前にフロントから
荷物と喫煙ルームの新しい部屋の鍵を受け取らなくちゃ
新しい部屋は…もっと狭かった
窓を開けると中庭が見える
でも…シャワーの出は昨日の部屋よりいい…よし!としなきゃ
さてと~♪
ムーラン・ルージュでのディナーの準備
着物の布で作って頂いた小豆色のドレスと
帯に見立てた幅広のウグイス色のバックスキンのベルト
若草色の帯あげを首に巻いてチョーカー風に
女二人…あ~だこ~だと賑やかに
ツアー会社マイバスまで歩く
午後6時20分…5分遅れで到着…ワゴンに乗り込む
ツアー参加者は9人…うちカップルが三組
新婚かなぁ???
まだ明るい街…ワゴンはパリ一の歓楽街・ピガールへ
おおお…赤い風車が見えてきた
午後7時開場
ボンソワール~マダム♪
ギャルソンたちがお出迎え
2ユーロを渡してコートをクロークへ
通された席は一番前の席
ステージが始まると舞台がせり上がるという
もうかぶりつき状態
ははは…いかにも日本人が好きそうな席
ろうそくの光の中…ディナーが始まる
一人シャンパンが半分付くという
半分???
9人同じ大きなテーブル
ソフトドリンクの女性2人を除いた7人で
シャンパン3本とハーフ1本を飲むのだという
カップルはすでに…二人だけの世界
私の隣はもちろん合野ちゃん…そして
合野ちゃんの隣はパリは二度目だという一人旅の女性
3人で話が弾む
料理が出でくる…う~ん…お世辞にも美味しいとは言えない
合野ちゃんの方を向いて話していると
必ず目が合う男性が一人…
接待なのか…アラブ系の人たちとテーブルを囲んでいる
最初は「何ジロジロ見てんのよぉ」と思ってたけど
こう何度も目が合うとなんか…気になってくる
顔はロバート・デニーロ
雰囲気はダスティン・ホフマン
なかなかのナイスガイ
私たちに背を向けているのだけど
会話の合間に
振り向くようにこちらを見る
演奏が始まる…男性・女性ボーカル二人が
英語の歌を歌っている
「シャンソン…聴きに来たのに…」と合野ちゃん
おまけにラテンナンバー~ベサメ・ムーチョまで
「外国人向けだからね」と私が答える
スローバラードが流れる…
男性の強い視線を感じる
私は気づかない振りして話を続ける
デザートがくる
どうやらこれで終わりらしい…
かなりお粗末なディナー
曲が終わり…拍手
やっと…シャンソンが流れる
ナプキンを置き…席を立つ
男性の視線が私を追う
広いホールは…ほぼ満席状態
皆、ショーの始まるのを待っている
こちらの男性方は不躾と思うほど
品定めをするような視線を送ってくる
それを無視しながら歩く
パダム…パダム…パダム♪
エディト・ピアフのナンバーが流れる
一人旅の女性エミちゃんに
いかにもラテン系といった感じの…晩年のジャク・レモン風の
ギャルソンが話しかける
そして何か書かれた紙を渡された
英語で書かれたメモは
「ショーが終わったらバーで待っていてくれ!」
「???」私たち3人は顔を見合わせた
そのうち、このギャルソンは
彼女の手を引きホールの後ろのカウンター連れて行く
ここで待っていてくれと言っているらしい
困っている彼女…合野ちゃんが連れ戻す
断るなら…きっぱり断った方がいいよ…と私たち
なおもしつこいギャルソンにきっぱり断る彼女…
それじゃ…しょうがないという笑顔の彼
う~ん…仕事中にナンパ…
恐るべしラテン男~
いつの間にか演奏は終わっていた
音楽が変わり
舞台がせり上がって来た
さぁ~ショーの始まり始まり~♪
それはそれは…もう凄い!!!
踊りも衣装も…合間のお笑いショーも
次から次へと繰り広げられる華やかなステージ
もちろん…フレンチカンカンも☆
そしてフィナーレ…
あっという間の2時間
よかったねぇぇぇ…!!!
終わったらすぐ出てくるよう言われていたので
出口に急ぐ私たち
ホールはまだ熱気が残っている
集合場所のロビー
ツアーの人がクロークから上着を取り出すのを待っている時
隣のテーブルの男性と出会う
「Good-by」と彼
「Good-by」と私
パリ…ムーラン・ルージュの夜でした
外は次の開演を待つ人の列
そして夜のピガール喧騒
赤い風車が回っている
それを楽しみ間もなく…帰りの車に乗る私たち
エミちゃんとも「お互い…いい旅を」と別れ…
あっという間にホテル着
私たちはホテルのバーでワイン
結局…シャンパン半分も飲めなかったんだもの
カップルの手前…女二人でガバガバ飲むわけにもいかなかったのだ
興奮冷めやらぬ様子の合野ちゃん…
私はぼんやり
ひと言…言葉を交わしたあの男性のことを考えていた
パリ…二日目の夜でした
さぁ…明日はヴェルサイユ宮殿へ